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国内版のiPhone XS / XS Maxでスマホ料金を節約したいユーザーは要チェック!
これまで、たばねたブログでは、香港版のiPhoneによるDSDSの実現を検証して記事を書いてきましたが、2019年7月4日に待ちに待ったニュースが飛び込んできました。
ついに、大手3社のキャリアではないIIJmioが、MVNOで国内初となるeSIMによるデータ通信サービスを開始するというものです。

記事としては、まだ得られている情報量が少ないので速報的なものになりますが、待望の内容になっていますので、少しまとめます。
IIJmioでeSIMのキャンペーンをやっています
iPhoneのeSIMを試してみるには格好のキャンペーンですね
eSIMと物理SIMとの違い
まず、物理SIMについてですが、これは通常スマートフォンや携帯電話を契約した際に通話や通信する業者が提供するICチップとなっています。
こちらのブログでも紹介したとおり、香港版のiPhone XS MaxやiPhone XRについては物理SIMを2枚挿すことができるため、音声通話をキャリア(ドコモ)のSIMとして、通信をMVNOの格安SIM(IIJmio)にすることで、全体的な携帯電話などの維持代金を安価に抑えようという内容になっています。
具体的な記事は次の関連記事を参照してください。
一方、ここで話題になるeSIM(Embedded-SIM)はその名のとおり、基本的に本体内部に埋め込まれている(Embedded)SIMとなっています。(※規格的にはカード形式のものも含まれます)
eSIMは、一般的に物理SIMのように物体で提供されるものではなく、SIMカードをソフトウェア化し、スマートフォンやタブレット端末の画面上でeSIMとして対応されている複数のサービスを選択します。
分かりやすく言えば、ユーザーは従来のようにSIMを抜き挿しすることなく、eSIM を搭載したスマートフォンやタブレット端末からプロファイルをダウンロードするだけで、手軽に通信キャリア(通信サービス)を切り替えることができるものです。
ただし、eSIM を使う条件としてはeSIMを搭載したスマートフォンやタブレットということになり、2019年7月時点でIIJmioが提供する具体的な端末及び機種は次のとおりとなっています。
- Microsoft Surface Pro LTE Advanced
- Apple iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR
- Apple 11インチiPad Pro、12.9インチiPad Pro(第3世代)、iPad Air(第3世代), iPad mini(第5世代)
残念ながらeSIMを実装しているApple Watch Series 3/Series 4のGPS + Cellularモデルには対応していませんが、今後の動向は非常に気になるところです。
フルMVNOのIIJmioだから実現したeSIMの提供
MNOとMVNO
フルMVNOを理解する前に、少しアルファベットの略語を整理してみます。
まず、MNOについて
MNO(Mobile Network Operator)は日本語で移動体通信事業者と呼ばれています。一般的には国から割り当てられる特定の周波数帯を使い、携帯電話などの無線ネットワークの設備などを敷設、運営して利用者にサービスを提供する事業者です。日本国内においては大手三社のNTTドコモ(docomo)、KDDI(au)、ソフトバンク(Softbank)がMNOとなります。
MNOに対するMVNO
MVNO(Mobile Virtual Network Operator)は仮想移動体通信事業者と訳されることが一般的です。名称の中にVirtual(つまり仮想)と入っているように、先に説明したMNOが持っている通信設備(基地局)などを借りて、サービスを提供する事業者のことを示しています。
※MNOから借りるのではなく、MVNOから借りてサービスを提供しているMVNOもあります。
MNOのように設備の敷設や開発などの投資をせず、それらの設備をレンタルしてサービスを提供することになるので、一般的には安価な料金プランでサービスを提供できます。
ここで言うIIJmioや楽天モバイル、mineo、LINEモバイルなど、俗にいう格安SIM、格安スマホを提供している事業者は一般的にはMVNOに当てはまると思って間違いないでしょう。
MVNOでもIIJmioだけがeSIMの通信サービスを提供できる理由
先に説明したように、日本ではMNOと呼ばれる大手3社は自らが通信設備を提供していますので、SIMを発行することが可能です。
一方、MVNOはそれを借りてサービスを提供していますので、原則SIMの発行ができません。
これは物理的なSIMはもちろんのこと、eSIMについても例外ではなく、原則、MVNOはeSIMによる通信サービスを提供することができないということになります。
ただし、MVNOの中でも、”フルMVNO”になると、自前のSIMカードを発行することができるようになり、eSIMの提供も可能になります。自社によるSIMの発行権限は、一般的にMVNOと言われる事業者と”フルMVNO”と言われるIIJmioとの差にもなっており、今回、MVNOで国内初のeSIMによる通信サービスを提供できた大きな理由でもあります。
ちなみに、IIJmioは事業開始10周年である2018年に、3G/LTE網を利用する国内初の「フルMVNO」のサービスを開始していますが、フルMVNOになるために、NTTドコモと2年間の協議と1年7ヵ月間の設備構築、おおよそ4年の歳月をかけて国内初のフルMVNOになっています。
iPhone XS、XS Max、XRにeSIMが実装されたほぼ同じタイミングでIIJmioがフルMVNOになったというアナウンスがなされていましたので、近いうちにeSIMによる通信サービスを提供してくれると予想していましたが、非常に早いタイミングでのサービス提供となり、たばねた自身は驚きとともに嬉しい気持ちでいっぱいです。

IIJmioがeSIMによる通信サービスを提供することで期待できること
通話(+安価なデータ通信)と通信SIMを分けることで維持費を節約できる
まず、DSDSによるiPhoneの運用を検討してきたすべてのiPhone XS,iPhone XS Max, iPhone XRのユーザー。特に、国内版のiPhone XS / XS Max / XRをお使いの方、香港版iPhoneでも物理SIMの2枚挿しができなかった、iPhone XSのユーザーにとっては朗報となるでしょう。
現状、高額なキャリア(docomoやau)で契約している維持費を、音声+(安価なデータプラン)を物理SIMで契約変更し、通信側のSIMとしてIIJmioのeSIMを契約することで、スマホの維持費を大幅に節約できることが期待できます。
今後、わざわざ海外版のiPhoneを買わなくてもすむ
つぎに、これまでDSDSによる中国圏のiPhoneを調達してきたユーザー、検討してきたユーザーも、今後、国内のiPhoneでそれを実現できることが期待できるでしょう。
もう数か月後にはiPhone 11も発売されるでしょうから、新型iPhoneのSIM構成が物理SIM+eSIMだった場合、色々な運用を検討することができます。
たばねたも、今後のiPhone買い替えにおいて、物理SIM+eSIMの国内版iPhoneも視野に入ることで、海外からのiPhone本体の調達をしなくてよくなるというメリットがあります。
eSIMのデータ通信プランの選択肢が増えれば柔軟な運用ができる
以前の記事にも書きましたが、中国圏(香港版)のiPhone XS Max, XRには物理SIMを2枚挿せる仕様だったのに対し、iPhone XSでは国内版と同じ、物理SIM+eSIMという仕様でした。この理由が、本体内部に物理SIMを2枚挿すスペースを確保できなかったからではないかという仮説をたてています。実際、eSIMであれば小さなスペースで実装できることは間違いないでしょうから、もし、多くのMVNOがeSIMのサービスを提供すれば、今後発売されるスマートフォンなどでも、物理SIMに加えてeSIMを実装するメーカーも増えてくるのではないかと期待します。
他にも、何度も書いていますが、物理SIMはSIMの抜き挿しが必要になるのに対し、eSIMは端末の画面での切り替えができます。例えば、通信の遅延やデータ通信の上限を超えるなどの不具合などで、よりよい通信環境を確保するために通信SIMを切り替えるなど、容易に柔軟な運用が可能になることも考えられます。
これらeSIMによる運用はユーザーに大きな利便性をもたらしてくれると期待します。
IIJmioモバイルサービス ライトスタートプラン(eSIMベータ版)の内容
この度、IIJmioから提供されるeSIMの通信サービスの内容をまとめます。
出展元はIIJmio公式HP及び株式会社インターネットイニシアティブとなります
サービスの概要
- 提供開始日:2019年7月18日
- 機能区分:データ通信専用
- 音声通話機能やSMS機能を付帯:なし
- サービス名: IIJmioモバイルサービス
- プラン名:ライトスタートプラン(eSIMベータ版)
- 申込方法:IIJmio Webサイト
料金 | 月額利用料 | 1,520円 |
初期費用 | 3,000円 | |
SIM発行手数料 | 200円 | |
ユニバーサルサービス料 | なし | |
データ通信 | 高速データ通信上限 | 6GB/月 |
データ通信量の追加 | 可能 | |
通信速度 | 高速データ通信利用時 | 上り最大131.3Mbps 下り最大1288Mbps |
データ通信量超過後 | 200kbps |
まとめ
待ちに待ったIIJmioのプレスリリースを受け、その内容を記事にまとめてみました。
MVNOの事業者によるeSIMの通信サービスの提供は、iPhoneでもAndroid端末でも安価にDSDSやDSDVを検討している多くのユーザーの救世主になると考えています。
一方で、現時点で唯一といえれうフルMVNOである、IIJmioは最近、ユーザーの増化の影響か、昼間の時間帯において大きな速度低下(遅いときには数百kbps)が生じています。
提供されるサービスプランについては文句がありませんが、速度低下(それも実用に耐えることができないほどの定価)については、今後の顧客離れも懸念されますので、是非、今後はその辺りのサービスの向上を期待したいと思います。
本件について、追加情報等があれば、また記事にしてお伝えしたいと思います。