金沢発、金沢着の一筆書。京都と東京で途中下車して節約の旅。

いろいろレビュー

全国に張り巡らされているJR(旅客鉄道)を使った旅では色々な裏技(テクニック)があります。

元々、国鉄(日本国有鉄道)だっただけあり、そのルール(旅客営業規則等)は複雑で、鉄道好き(俗に言う鉄道ヲタク)な方々はそのルールを良く理解し、上手に鉄道を利用したり楽しんだりしているようです。

たばねた自身はそれほどJRなどに詳しいわけではありませんが、今回はJRの”途中下車”と”路線の一筆書”を使った節約の旅をレビューします。

ちなみに、2004年にNHK BS hiで放送された「列島縦断 鉄道12000キロの旅 ~最長片道切符でゆく42日~」という番組なども、これらのルールを利用したうえで、全国の鉄道を一本の線でつなぎ片道にし全国を旅する企画でした。

世の中は知ってる人が得をするルールがあるなと改めて思います。

ちなみに、こちらの記事は金沢発、金沢着のレビューとなっていますが、同じ路線であれば東京発、京都発、名古屋発などであっても同じ路線であればほぼ同様の考え方で実現できると思います。

できるだけ詳しく書いたつもりですので参考になれば幸いです。

今回の旅で利用したJRのルール

今回の旅で利用したJRのルールをかいつまんで解説します。

旅の途中で改札を出る”途中下車”の制度

「途中下車」というのは、購入した乗車券の区間の途中の駅でいったん改札口の外に出ることをさします。
原則、乗車券で後戻りしない限り何回でも途中下車することができますが、例えば”片道の営業キロが100キロまでの普通乗車券”では途中下車ができないなど、次のいくつかの例外があるので注意が必要です。(下記”JR東日本公式HPより引用”)

  1. 途中下車できない切符
    片道の営業キロが100キロまでの普通乗車券
    大都市近郊区間内のみをご利用の場合の普通乗車券
    回数券
    一部のトクトクきっぷ
    特急券、急行券、グリーン券、寝台券、指定席券、乗車整理券、ライナー券
  2. 特定の都区市内(JRの公式HP「特定の都区市内駅を発着する場合の特例」参照)発着となる乗車券について、各同じゾーンの駅では途中下車できません。
    ※山手線内発着となる乗車券も同様。
  3. 東海道・山陽新幹線を利用する場合に限り、三ノ宮、元町、神戸、新長田、または新神戸の各駅では新幹線と在来線を乗り継ぐため、当日中の乗り継ぎに限り途中出場が可能。

ここで気をつけておく必要があるのは①にある途中下車できない切符ですが、②や③など他にも色々とルールがあることに注意してください。

正直、①以外のルールについては複雑すぎて私には理解しきれていない部分があります。

途中下車の詳細についてはJR東日本HP「旅客営業規則第156号途中下車」を参照することで確認できますが、正直ますますわかりませんので、もし不安な場合は「みどりの窓口」で確認することをオススメします。

たばねた
JRのルールとっても複雑すぎ・・・

重ならない路線は片道扱いで”一筆書き”。遠距離逓減制を賢く利用しよう。

JRの切符の扱いでは、始発駅から終着駅までの路線の中で駅や区間が重ならない場合、片道切符とみなすことができます。

片道切符にすることの大きな理由は、遠距離になるほど賃率が低くなる”遠距離逓減制”というJRの運賃制度をうまく利用することにあります。

具体的に、JRの運賃は次のように距離によって区間毎にキロ単価が安くなっていきますので、できるだけ長い距離で乗ったほうがより運賃が安くなることになるわけです。

JR東日本、JR東海、JR西日本の幹線賃率
  • ~300キロ     16円20銭/km
  • 301~600キロ  12円85銭/km
  • 601キロ~      7円05銭/km

例えば、700kmの営業キロの場合の運賃は

300km×16.2  + 300km×12.85円 + 100km×7.05円 = 9,400円(百円未満四捨五入)
9,400円×1.08(消費税)=10,150円(十円未満四捨五入)

という計算になります。

金沢発、金沢着の一筆書きと山科問題

それでは、本題の金沢発-金沢着の一筆書の旅を解説していきましょう。

旅のスケジュールと一筆書の路線図

今回の旅のスケジュールは次のとおりとなりますが、実際の路線図を示します。

3/7  金沢駅発ー京都駅着 特急(北陸・湖西線)
3/8  京都駅発ー東京駅着 新幹線(東海道)
3/9  東京駅発ー金沢駅着 新幹線(北陸)

赤線で示している路線が”金沢発”-(北陸・湖西線)-(東海道新幹線)-(北陸新幹線)-”金沢着”の一筆書になります。

たばねた
あれ?京都駅付近の青色の線はなに?

京都駅と山科駅の間の重複区間

京都駅付近に青線がありますが、この部分は往路と復路で重複してしまっている路線(重複区間)になります。

下の図で確認してみましょう。

実際には、湖西線(琵琶湖の西を通る北側から延びている路線)の特急から新幹線(東海道新幹線)に乗り換えるとした場合、山科駅ー京都ー(仮)山科駅と続く実線では重複していません。

対して、特急が通る湖西線の実践と東海道本線の点線で確認すると山科駅ー京都駅ー山科駅の間の路線は重複していることが確認できます。

東海道新幹線の駅に山科駅は存在しませんが、ここでは分かりやすいように(仮)山科駅を想定しています。

実は、”新幹線と在来線が並行している区間では、同じ線として営業キロ等の計算をする”というルールがあります。

よって、こちらの区間については特急と新幹線の路線図が別々でも、東海道本線と新幹線は並行しているので、ルールに従って往復とみなされるということになってしまいます。

この辺りのルールについてはJR東日本の「新幹線と在来線が並行する区間の特例」でも確認することができます。

一筆書きにならない山科駅からの重複区間をクリアする

ここで示す、湖西線から東海道新幹線への乗り換えをする場合、二つの条件によって対応する方法があります。

京都駅で途中下車をせずに特急と新幹線の乗り換えをする場合

京都駅で途中下車(改札を出ない)せずに、特急と新幹線の乗り換えのみをする。すなわち、京都駅を通過するだけの場合は、JRで取り決められている「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」(引用:JR東日本)をもって、通過することができます

運賃計算の特例「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」

次の区間の左側の駅から枝分かれする一方の線区から他方の線区まで乗車する場合で、列車が左側の駅を通過するため左側の駅と右側の駅との間を折り返し乗車する場合は、同区間のキロ数は含めないで運賃計算をします(定期券は除きます)。ただし、折り返し区間内では途中下車はできません(途中下車される場合は同区間に対する運賃が必要になります)。 (引用元:JR東日本)

(抜粋) 山科ー京都

要するに、今回の旅程のように金沢から湖西線で京都まで乗車して、京都から東海道新幹線の列車に乗り継いで東京まで乗車する場合は特例によって金沢-東京間の運賃は、金沢-山科間の営業キロ(219.3キロ)と山科-東京間の営業キロ(508.1キロ)を合計した727.4キロですることができるといったものです。

ただし、この場合、折り返し区間内(ここでは山科から京都方面の駅)では途中下車はできず、途中下車する場合は同区間に対する運賃が必要になるというのが、上記引用文赤文字のただし書きになります。

京都駅で途中下車する場合

前述のとおり、京都駅で途中下車をする場合は、重複している部分(山科-京都間)の往復乗車券を購入して対応します。

この場合は実際には下車しない山科駅で途中下車をしたことにしているようですが、この辺の件は”山科問題”ということで検索すると様々な情報がでてきます。

難しいことは抜きにするなら、京都(実は山科から京都方面の大阪などでも対応できます)で途中下車する場合は、その区間の往復乗車券が必要だということを覚えておきましょう。

今回購入した切符

これまでのことを踏まえ、今回の旅では次の切符を購入しています。

乗車券について

たばねたの場合は前述のスケジュールのとおり京都駅で途中下車をしますので【金沢⇒金沢】の片道乗車券(一筆書)と【山科⇔京都】の往復乗車券を購入しています。

先にも書きましたが、京都駅で乗り換えして途中下車(改札を出る)をしなければ、【山科⇔京都】の往復乗車券は不要です。

乗車券

・金沢 ⇒ 金沢
(※経由:北陸・湖西・新幹線・東京・新幹線・金沢)
・山科 ⇒ 京都
・京都 ⇒ 山科

特急券と新幹線特急券について

特急券および新幹線特急券は、途中下車または乗継する列車ごとの切符を購入しましょう。
私の場合は次の3枚を購入しています。

特急券&新幹線特急券

① 金沢 ⇒ 京都
② 京都 ⇒ 東京
③ 東京 ⇒ 金沢

① 3/7 金沢 ⇒ 京都の特急サンダーバード特急券

こちらは京都駅で特急から新幹線に途中下車して乗継しますので、乗継割引がかかっています。
大雑把には特急列車とJR線の特急列車や急行列車を乗り継ぐと特急・急行料金、指定席料金が半額になるものですが、詳細はやはり結構複雑ですので、JR東日本「乗継割引」を参照してください。

乗継割引が適用される条件についても、新幹線→在来線、在来線→新幹線など様々なケースで当日のみや翌日まで可など条件が異なりますので、注意が必要です。

② 3/8 京都 ⇒ 東京の新幹線のぞみ新幹線特急券

京都から東京へ向かう新幹線特急券となります。
実は、上記のサンダーバード特急券と東京へ向かう新幹線特急券はインターネット予約の”e5489”もしくは”えきネット”での購入を検討していました。
”e5489”ではJ-WESTカードを持っていれば、切符発券までの予約を何度でも変更することができますので、非常に便利です。

ただし、”e5489″でも乗継割引を適用させた切符を購入することは可能なのですが、乗車日をまたいだ指定をすることがどうしてもできませんでした。

乗り継ぎで特急券と新幹線特急券を購入するのであれば、みどりの窓口で購入するのが確実だと思います

※何か方法をご存知のかたいらっしゃいましたらコメント頂けると幸いです。

③ 3/9 東京 ⇒ 金沢の北陸新幹線かがやき新幹線特急券

最後の経路、東京から金沢へ向かう北陸新幹線の新幹線特急券となります。
こちらの切符はJR西日本のネット予約サイト”e5489(いいごよやく)”で予約して、東京で発券しています。
前述のとおり、”e5489″でかつJR西日本のクレジットカードであるJ-WESTカードで決済することで次のようなメリットがあります。

  • 山陽・九州新幹線(新大阪~鹿児島中央)・北陸新幹線(金沢~東京)をはじめ、JR西日本・JR四国・JR九州エリアの特急列車(一部の快速列車含む)、また、JR東海・JR東日本の一部エリアの新幹線・特急列車等をインターネットから予約・購入することができます
  • J-WESTカード会員であれば、専用のおトクなきっぷ「eきっぷ」「e早特」「e早特1」「J-WESTチケットレス」を予約できます
  • 発売開始日のさらに1週間前から予約の申込を受け付ける「事前申込サービス」が利用できます
  • 予約時にクレジットカードで決裁の場合、切符受取り前なら、予約されている列車の発車時刻前(※いくつか条件あり)まで予約の変更・払いもどしができます。
    ※ただし、支払い後の払いもどしについては手数料が発生します。

私の購入した新幹線特急券は”eきっぷ”は通常のきっぷであれば6,780円のところ640円引きの6,140円で購入することができました。

通常の運賃との比較してみる

ナンセンスかもしれませんが、今回の旅程を「一般的に購入する切符」と、実際に「たばねたが購入した切符」を比較して、どのぐらい節約できているかを検証してみましょう。

「一般的に購入する切符」としては途中下車というルールを使いませんので、単純に
① 金沢 ⇒ 京都
② 京都 ⇒ 東京
③ 東京 ⇒ 金沢
を分割して計算します。

一般的に購入する切符

① 金沢 ⇒ 京都 【乗車券】 4,000円+【特急券】 1,450円 ※乗継割引適用
② 京都 ⇒ 東京 【乗車券】 8,210円+【新幹線特急券】 5,700円
③ 東京 ⇒ 金沢 【乗車券】 7,340円+【新幹線特急券】 6,140円 ※eきっぷ割引適用

①+②+③ 合計 = 32,840円

乗継割引の適否については色々ありますが、原則、その区間の乗車券があれば適用されますので、改札を出る行為は途中下車でなくても適用されると解釈しています。

今回購入した切符

【乗車券】
金沢 ⇒ 金沢 13,820円
山科 ⇔ 京都(往復) 380円

【特急券&新幹線特急券】
① 金沢 ⇒ 京都 1,450円 ※乗継割引適用
② 京都 ⇒ 東京 5,700円
③ 東京 ⇒ 金沢 6,140円 ※eきっぷ割引適用

乗車券+①+②+③ 合計 = 27,490円

実際の差額

今回の切符の一般的な値段との差額は5,350円となりました。

32,840円 - 27,490円 = 5,350円

途中下車と改札のとおり方

実際やってみると難しい話ではありませんが、どのように改札を通ったかを書いていきます。

たばねた
たばねたは、結構ドキドキだった

まず金沢から京都に向かう

金沢駅は始発ですので、有人改札でも良いですし、自動改札でも問題ありません。

私は自動改札に【金沢 ⇒ 金沢】の乗車券と【金沢 ⇒ 京都】の特急券のみを入れて、自動改札から入りました。

重複区間を補完する【山科 ⇒ 京都】の乗車券は山科駅で途中下車するということを想定していますので、始発では見せなくて(入れなくて)良いです。

ただし、京都駅で途中下車(改札を出る)場合は、自動改札ではなく、駅員さんがいる有人改札で3枚の切符を見せて途中下車しましょう。

特に何も言わなければ、一番上の【金沢 ⇒ 金沢】の乗車券だけ返されて、あとの2枚は回収されるはずです。
※ここでは、”無効印”を押印してもらうことで切符を手元に残しています。

乗車券左側の穴が自動改札の入鋏で開けられたもので、右上のゴム印が山科駅下車代の支払いを証明するために押印されたものになります。
実際には途中下車せずに、京都駅の改札口で【山科 ⇒ 京都】の乗車券を見せているだけですので、京都駅でそれを証明する運用のようです。

京都から東京へ

京都駅から東京へ向かいます。ここでは自動改札を通らずに、京都駅で途中下車する時と同様、有人の改札を通っています。

東京駅で途中下車する場合も有人改札から出ていますが、その際には赤枠の”東京”のゴム印を押印されました。

【京都 ⇒ 山科】の乗車券と【京都 ⇒ 東京】の新幹線特急券は何も言わなければ回収されますが、”無効印”をお願いしたら手動で穴をあけられました。この辺りは改札によって運用が異なるのかもしれません。

最後に東京から金沢へ

最後に、東京から金沢へ帰ります。東京駅の有人改札で残り2枚の切符を見せて入ります。

金沢駅に着いたら有人改札ですべての切符を回収されます。

同様に”無効印”をお願いすると【金沢 ⇒ 金沢】の乗車券に無効印が押印されて切符が無効になります。

旅を終えて

以前から、東京、金沢、京都、名古屋などを経由するこの路線での一筆書は気になっていたのですが、今回それを実行し、記事にしてみました。

東京発や名古屋発、京都発の同路線の一筆書はブログ等で書かれている方が多いのですが、金沢発の記事は非常に少ないので、ここでは少し詳細に書き留めてみたところです。

差額を見てのとおり、節約できる金額はそれほどでもないかもしれませんが、何もしなければ通常の切符の料金になりますので、もしこの内容が手間だと思わなければ実行する価値はあると思います。

記事にも書きましたが、JR鉄道の規則(ルール)はとても複雑で、もしかしたらこちらの内容に間違い等があるかもしれません。もしお気づきの点やさらに節約できたりする方法があればコメントなど頂けると有難いです。

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